障害年金を受給できる確率
1 障害年金業務統計
日本年金機構は、毎年「障害年金業務統計」という資料を発表しており、これを見ると障害年金に関する様々なデータを確認することができます。
この記事を執筆中の時点で最新のものは、以下のリンク先にあります。
参考リンク:日本年金機構・日本年金機構の主要統計
※関連情報・障害年金業務統計の箇所
2 障害年金が不支給となる割合
上記リンク先から見ることができるのは、令和5年度中に決定された分の件数に関する統計です(令和7年7月時点)。
障害基礎年金と障害厚生年金を合わせた全体で見ると、14万2209件の決定のうち非該当となったのは1万1947件で、8.4パーセントを占めています。
また、これとは別に書類の不備等で却下されたものが1209件(障害基礎年金703件、障害厚生年金506件)あり、これも加えると、不支給となった割合は9.2パーセント程度となります。
さらに、診断書の種類別では、精神障害・知的障害で非該当となったのは障害基礎年金で7.1パーセント、障害厚生年金で4.3パーセントですが、内部障害で非該当となったのは障害基礎年金で36.1パーセント、障害厚生年金では11.0パーセントとなっており、外部障害で非該当となったのは障害基礎年金で17.8パーセント、障害厚生年金では3.9パーセントとなっています。
ここから、内部障害と外部障害は、精神障害・知的障害と比べて非該当となる割合が高いことが分かります。
また、障害基礎年金のほうが障害厚生年金よりも非該当となる割合が高くなっているのは、障害基礎年金には3級と障害手当金がなく、少なくとも2級に認定されなければ支給されないためであると考えられます。
3 専門家がサポートする意義
障害年金が支給されるためには、必要な年金保険料を納付している、障害の程度が等級に該当している等の要件を満たす必要があるため、審査の結果、一定程度不支給が生じるのはやむを得ないことです。
しかしながら、不支給となっているものの中には、初診日を証明するための適切な書類を提出していない場合や、実際の症状が適切に反映されていない診断書を提出してしまった場合も、一定割合あると考えられます。
実際に、自分自身や家族で申請を行った結果不支給となったというご相談をいただくケースが多く、そうしたケースの中には、適切に申請すれば支給されたはずだと思われるものもあり、弁護士、社会保険労務士の専門家が関与することで、そのような残念なケースを減らすことができると考えられます。
4 いわゆる「受給率」について
障害年金を取り扱っている専門家の中には、ホームページで受給率(申請した件数のうち受給できたものの割合)の高さを強調している場合があります。
確かに、受給率が高いことは、適切なサポートを行って申請し、受給という結果に結び付いていることを示しているかもしれません。
その一方で、相談の段階で受給できるかどうかはっきりしないものを受任しなかった結果である可能性もあります。
当法人では、障害年金が病気やケガでお金を稼ぐことが難しくなった方のための重要な制度であることを踏まえ、不支給となる可能性が一定程度あるものでも受任させていただいており、受給率の高さにはこだわっていません。