障害年金を受給できる確率
1 障害年金業務統計
日本年金機構は、毎年「障害年金業務統計」という資料を発表しており、これを見ると障害年金に関する様々なデータを確認することができます。
それによると、障害年金の申請をして「非該当」となった割合は令和2年度から令和5年度は7~8パーセント前後となっていました。
「非該当」とは、障害の程度が等級に該当するといった要件を満たさず、障害年金が支給されない場合をいいます。
また、令和元年度と令和6年度は非該当の割合が高めになっており、そのようなブレを平均すると、障害年金を申請して受給できる確率は、おおむね90%前後であると考えられます。
この記事を執筆中の時点で最新のものは、以下のリンク先にあります。
参考リンク:日本年金機構・障害年金業務統計
2 障害年金が不支給となる割合
もう少し詳しく見ていきましょう。
上記リンク先から見ることができるのは、令和6年度中に決定された分の件数に関する統計です。
障害基礎年金と障害厚生年金を合わせた全体で見ると、14万6225件の決定のうち非該当となったのは1万8982件で、13.0パーセントを占めています。
前年度である令和5年度の非該当割合は8.4パーセントであり、大幅に増えています。
令和6年度の統計が公表される以前から、日本年金機構の内部資料をもとに令和5年度と比べて不支給の割合が大幅に増えていることが報道され、国会でも取り上げられる事態となりましたが、公式な資料からも、改めて報道の内容が裏付けられた結果です。
また、令和5年度の統計に限っては、非該当とは別に、書類の不備等で却下された件数も記載されています。
却下になったものは、審査の結果、初診日が確認できないと判断されたものが多いと考えられます。
他の年度は数字がないのですが、令和5年度に却下された件数は、非該当となった件数の1割強ありますので、申請した結果年金が支給されなかった割合は、非該当の割合よりも若干多いと考えらえます。
令和6年度の統計に戻ると、診断書の種類別では、精神障害・知的障害で非該当となったのは障害基礎年金で13.9パーセント、障害厚生年金で6.5パーセントであり、内部障害(呼吸器疾患、循環器疾患、腎疾患、肝疾患、糖尿病等)で非該当となったのは障害基礎年金で40.8パーセント、障害厚生年金では13.2パーセントであり、外部障害(眼、聴覚、肢体等)で非該当となったのは障害基礎年金で20.4パーセント、障害厚生年金では5.3パーセントとなっています。
ここから、内部障害と外部障害は、精神障害・知的障害と比べて非該当となる割合が高いことが分かります。
また、障害基礎年金のほうが障害厚生年金よりも非該当となる割合が高くなっているのは、障害基礎年金には3級と障害手当金がなく、少なくとも2級に認定されなければ支給されないためであると考えられます。
3 専門家がサポートする意義
障害年金が支給されるためには、必要な年金保険料を納付している、障害の程度が等級に該当している等の要件を満たす必要があるため、審査の結果、一定程度不支給(非該当と却下)が生じるのはやむを得ないことです。
しかしながら、不支給となっているものの中には、初診日を証明するための適切な書類を提出していない場合や、実際の症状が適切に反映されていない診断書を提出してしまった場合も、一定割合あると考えられます。
実際に、自分自身や家族で申請を行った結果不支給となったというご相談をいただくケースが多く、そうしたケースの中には、適切に申請すれば支給されたはずだと思われるものもあり、弁護士、社会保険労務士の専門家が関与することで、そのような残念なケースを減らすことができると考えられます。
4 いわゆる「受給率」について
障害年金を取り扱っている専門家の中には、ホームページで受給率(申請した件数のうち受給できたものの割合)の高さを強調している場合があります。
確かに、受給率が高いことは、適切なサポートを行って申請し、受給という結果に結び付いていることを示しているかもしれません。
その一方で、相談の段階で受給できるかどうかはっきりしないものを受任しなかった結果である可能性もあります。
当法人では、障害年金が病気やケガで収入をことが難しくなった方のための重要な制度であることを踏まえ、不支給となる可能性が一定程度あるものでも受任させていただいており、受給率の高さにはこだわっていません。
お役立ち情報
(目次)
- 障害年金を受給するためのポイント
- 障害年金で必要な書類
- 不支給通知が届いた場合
- 様々な資料で初診日の証明ができた事例
- 障害年金の事後重症請求
- 障害年金申請で診断書の記載が重要な理由
- 障害年金の計算方法
- 障害年金の所得制限
- 働きながら障害年金を受給できる場合
- 障害年金で後悔しやすいケース
- 障害年金の種類
- 額改定請求について
- 障害年金を受給できる確率
- 障害年金がもらえない理由
- 自閉スペクトラム症(ASD)で障害年金が受け取れる場合
- コロナ後遺症で障害年金を受け取る場合
- 肺結核で障害年金を請求する場合のポイント
- 狭心症で障害年金を請求する場合のポイント
- リウマチで障害年金が受け取れる場合
- 障害年金と障害者手帳の違い
- 特別障害者手当
- 障害者手帳について
- 障害者年金
- 社会保険労務士とは
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